内容
1.スタートアップが生き残る鍵:
2.社会課題を解決するビジネスモデル特許
2.1 株式会社グリッドについて:
2.2 特許情報
2.3 渋滞を予測する、ハイブリッドAIエンジン
3.おわりに
1.スタートアップが生き残る鍵:
スタートアップが生き残る鍵は、「他社と違う視点」を持てるかどうかです。
AIや特許、社会インフラ。一見遠い世界に感じるかもしれませんが、実はスタートアップこそが活用すべきテーマです。
今回は、AIを活用して“渋滞”という社会課題を解決する技術特許をご紹介します。
ポイントは「短期と長期のデータをどう融合するか」。これは、事業開発そのものにも応用できる視点です。
2.社会課題を解決するビジネスモデル特許 [i] [ii] [iii]
2.1 株式会社グリッドについて:
株式会社グリッドは、社会インフラという伝統産業に、AIという先端技術を組み合わせた革新的なスタートアップです。
2023年には東証グロース市場にも上場。
特に注目すべきは、彼らの特許戦略と実装力の高さです。
🏢 株式会社グリッド
📍拠点: 東京都港区北青山
🗓 設立: 2009年10月
📈 上場: 2023年7月(東京証券取引所グロース市場)
💰 資本金: 5210万円(2024年6月時点)
💼 売上高: 16.5億円(2024年6月時点)
👥 従業員数: 97人(2024年6月時点)
🌱 事業内容
同社は、社会インフラ領域における計画最適化のエンジニアリング及びサービス事業を行っています。
注力する社会インフラ3分野として、以下が挙げられています。
1 電力・エネルギー分野: 電力需給計画、プラント制御、分散電源制御
2 物流・サプライチェーン分野: 配船計画、生産計画、輸送計画
3 都市交通・スマートシティ分野: 都市計画、渋滞予測、空調熱源制御
2.2 特許情報
ご紹介する発明は、渋滞予測システムに関するビジネスモデル特許7228151号です[iv]。
🧾特許情報(特許7228151号)[v]
・発明の名称:渋滞予測システム、渋滞予測方法、学習装置、予測装置、プログラム、および学習済みモデル
・出願日:2018年3月26日
・登録日:2023年2月15日
2.3 渋滞を予測する、ハイブリッドAIエンジン[vi]
この特許のポイントは、高い精度を実現するために、短期と長期、リアルタイムと蓄積データ、という2つの軸を掛け合わせている点です。
多くのAIシステムが「直近の予測」にとどまりがちな中、同社は未来予測と即時判断の両立に着目しました。
この技術は、以下のように具体的なビジネスインパクトをもたらします:
🔹物流事業者: 到着時刻の精度向上やコスト最適化
🔹ナビゲーションサービス: より信頼性の高いルート提案
🔹都市交通: 混雑ボトルネックの予測とプランニング
この視点は、在庫管理・需要予測・人員配置など、他業種にも応用できるものです。
① 入力データ:センサから収集される交通量や属性情報
② 学習フェーズ:
・短期モデル(数時間以内の渋滞)
・長期モデル(曜日や祝日ベースの傾向)
③ 予測出力:2種の予測を統合し、即応性と予見性を両立
3.おわりに
特許やAI技術を「自分には関係ない」と感じているスタートアップも多いかもしれません。
ですが、このように社会課題にフォーカスし、視点の掛け算によって新しい価値を生み出す手法は、どんな事業にも応用できる考え方です。
「自社のビジネスでは、何を短期/長期で見ているか?」「複数視点を融合できているか?」
そんな問いは、実際にビジネス成長を加速させる原動力にもなり得ます。
本日もご覧いただきありがとうございました。
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【参考文献】
[i] 株式会社グリッド
https://gridpredict.jp/
[ii] 特許7228151号公報
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-2019-169028/11/ja
[iii] 株式会社グリッド 第14期 有価証券報告書 2023-9-29
[iv] 特許庁のサイトのビジネスモデル特許の説明において、IPC又はFIとしてG06Qが付与された特許出願をビジネス関連発明と定義しています。特許庁「ビジネス関連発明の最近の動向について」https://www.jpo.go.jp/system/patent/gaiyo/sesaku/biz_pat.html
[v] 東日本高速道路㈱が共同の特許権者
[vi] ブログ管理人の解釈であり、この特許の権利範囲を示すものではありません。