その事業計画、特許で囲い込めるのでは? ~転職・就職サイトのビジネスモデル発明を例にして~

特許

内容

1.はじめに:
2.転職・就職サイト事業のビジネスモデル発明の一例:
2.1 オープンワーク株式会社について:
2.2 2018年に「働きがい連動スカウト」をリリース:
2.3 特許の概要:
2.4 企画したルールをコンピュータで実現:
3.おわりに:

 

1.はじめに:

以前の記事でビジネスモデルに関連するものも、特許になり得ることをご紹介しました(リンク)。

今回は、ビジネス関連発明の一事例として、転職・就職サイト事業の発明をご紹介します。

 

2.転職・就職サイト事業のビジネスモデル発明の一例:

2.1 オープンワーク株式会社について:

今回ご紹介する特許は、オープンワーク株式会社のものです。
同社の企業情報の一部を下記に示します。

2.2 2018年に「働きがい連動スカウト」をリリース:

同社は、2018年に、「働きがい連動スカウト」サービスをリリースしました。

以下は同社のHPから引用したリリース記事の一部です。

通常の求人サイトのスカウト機能は、一律で送信可能数が決まっており、必要に応じて希望の送信数を購入するのが一般的です。Vorkersリクルーティングでは、社員クチコミによる企業評価スコアが高い企業ほど多くスカウトを送信できる、「働きがい連動スカウト」を提供いたします。[i]
評価が高い企業ほど多くの候補者にアプローチでき、ユーザーも評価の高い企業から多くのスカウトを受けられる健全で有益なスカウトプラットフォームを実現します[ii]

 

2.3 特許の概要:[iii] [iv]

ご紹介する特許は、特許6510724号です。

以下は、請求項1の記載内容です。

【請求項1】

登録者に対する求人情報の配信可能数を決定する配信可能数決定装置であって、

前記求人情報の配信を希望する企業と、前記企業に対する評価とが関連付けて格納されたデータベースを参照し、前記評価に応じて、前記企業ごとに前記求人情報の配信可能数を決定する配信可能数決定部と、

前記配信可能数決定部により決定された配信可能数を前記企業へ付与する付与部と、を備え、

前記配信可能数決定部は、前記評価に応じて前記求人情報の配信可能数を増加させることを特徴とする配信可能数決定装置。

 

請求項1の概要を説明すると下記になります(注1)。

・この特許の特徴は、配信可能数決定部(204)にあります。

・配信可能数決定装置(2)は、登録者に対する求人情報の配信可能数を決定しますが、その中でも、配信可能決定部(204)が、評価に応じて求人情報の「配信可能数」を増加させる点が特徴です。

・配信可能数決定部(204)が、求人情報の配信を希望する企業と、企業に対する評価とが関連付けて格納されたデータベース(200B)を参照し、評価に応じて、企業ごとに求人情報の「配信可能数」を決定します。

注1:この記載は、あくまで本ブログ向けに簡易にまとめた記載であり、実際の権利範囲を正しく反映したものとは異なる可能があります。

 

2.4 企画したルールをコンピュータで実現:

同社は、評価スコアが高い企業ほど多くのスカウトを送ることが可能というサービス(ルール)を企画しました。

ルール自体は、人間の決め事に過ぎないので、そのままでは特許の保護対象になりません。

但し、そのルールをコンピュータの処理と結び付けることによって、ビジネスモデル特許になり得ます。

同社はここに注目し、保護を求める特許の対象を、“配信可能数決定部(204)を有する配信可能決定装置(2)“として特定し出願しています。

 

3.おわりに:

いかがでしたか?

新規事業を計画する際に、ビジネスモデル特許になり得るか?という視点を併せ持っておくことで、そのビジネスモデルを囲い込むことができるかもしれません。

なお、同社は、今回の特許出願において早期審査制度を活用し、出願から4カ月で特許を取得しています。

以前ご紹介したファーストアクションの平均10カ月[v]と比べると極めて短期間ですね。

本記事が戦略的に特許を取得するためのきっかけの1つになりましたら幸いです。

本日もご覧いただきありがとうございました。

 

【参考文献】
[i] オープンワーク株式会社HP 2018.09.04「[Vorkersリクルーティング] 評価によって送信可能数が変動する、「働きがい連動スカウト」をリリースしました。」
https://www.openwork.co.jp/press/20180904
[ii] オープンワーク株式会社HP 2018.09.04「評価によって送信可能数が変動する、「働きがい連動スカウト」をリリース」
https://kyodonewsprwire.jp/release/201809047525
[iii] 特許6510724号 https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-6510724/15/ja
[iv] 特許庁のサイトのビジネスモデル特許の説明において、IPC又はFIとしてG06Qが付与された特許出願をビジネス関連発明と定義しています。特許庁「ビジネス関連発明の最近の動向について」https://www.jpo.go.jp/system/patent/gaiyo/sesaku/biz_pat.html
[v] 審査結果の最初の通知はいつ頃来るのか? ~ファーストアクション(FA)期間について~

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