内容
1.はじめに:
2.調剤薬局の課題を解決するビジネスモデル特許
2.1 調剤薬局が抱える課題
2.2 特許権者
2.3 特許の出願日等
2.4 「待ち時間の不満」をなくす仕組みとは?
2.5 請求項の記載
3.おわりに
1.はじめに:
「待ち時間のストレスは避けられない」——そう思っていませんか?
しかし、今回ご紹介する企業は、この課題に対して新たなアプローチで特許化しました。
本記事では、調剤薬局における接客支援システムのビジネスモデル特許を紹介し、どのようにして患者のストレスを軽減し、よりスムーズなサービスを提案しているかを解説します。
2.調剤薬局の課題を解決するビジネスモデル特許 [i] [ii]
2.1 調剤薬局が抱える課題
患者満足度の低下は、調剤薬局の経営リスクにつながりかねません。
多くの調剤薬局では、患者に待ち時間の情報を提供するシステムを導入しています。
しかし、単に待ち時間を伝えるだけでは、すべてのストレスを解消できるわけではありません。
例えば、**「自分より後に受付した患者が先に薬を受け取る」**という状況が発生すると、患者の不満が高まります。
これは、調剤時間が薬の種類や処方内容によって異なるために起こる現象ですが、多くの患者にとっては「不公平」に映ります。
この”見えないストレス”をどう解決するか?——ここに、今回紹介するビジネスモデル特許の価値があります。
2.2 特許権者
今回の発明の特許権者は、株式会社くすりの窓口です。
同社の企業情報の一部を下記に示します。
2.3 特許の出願日等
紹介する特許は、先の調剤依頼患者にストレスを与えることを抑止する発明で、登録番号は特許7594397号です。
出願日は2020年9月で、2023年9月に出願審査請求を行っています。
国際特許分類にG06Q**が割り当てられており、ビジネスモデル関連発明といえそうです[iii]。
2.4 「待ち時間の不満」をなくす仕組みとは?[iv]
この発明のポイントは、患者のストレスを”感じさせない”仕組みにあります。
調剤にかかる時間は患者ごとに異なりますが、それによる不満を減らすために、
1)患者ごとの待ち時間を計算し、:(待ち時間算出部12)
2)待ち時間に応じてグループ分けし、:(振り分け部13)
3)異なる待機エリアへ案内する:(待機所案内部14)
という流れをシステム化しました(図1参照)。
これにより、患者が「自分より後の人が先に薬をもらっている」と気づく機会を減らし、ストレスを抑えることができます。
“見せ方”を変えるだけで、顧客満足度が劇的に向上する。
これは、さまざまな業界で応用できる考え方かもしれません。
【図1】
2.5 請求項の記載
方法発明である請求項5は下記のとおりです。
【請求項5】
コンピュータの待ち時間算出部が、調剤を依頼した患者ごとに、調剤が完了するまでの待ち時間を算出する第1のステップと、 上記コンピュータの振り分け部が、上記待ち時間算出部により算出された待ち時間の長さに応じて、調剤薬局が設備として備える複数の待機所の数と同数の複数のグループに患者を振り分ける第2のステップと、 上記コンピュータの待機所案内部が、上記振り分け部による振り分けの結果に基づいて、上記複数の待機所のうち何れかの待機所で待機することを促す案内情報を患者に提供する第3のステップとを有する ことを特徴とする調剤薬局接客支援方法。 |
3.おわりに
スタートアップにとって、「小さな不満」こそ大きなビジネスチャンスになる。
今回の特許は、単なる技術的な発明ではなく、顧客視点の課題解決がビジネスモデルとして評価された事例です。
スタートアップが市場で勝つためには、既存の業界が見落としがちな”小さな不満”に目を向け、それをシステム化・特許化し、競争優位性を築くことが重要です。
もしあなたのビジネスでも、顧客が無意識に抱える”見えない課題”を発見できれば、それが新たなイノベーションの起点になるかもしれません。
あなたの業界にも、「見逃されている課題」はありませんか?
本日もご覧いただきありがとうございました。
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【参考文献】
[i] 特許7594397号公報
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-2022-052080/11/ja
[ii] 株式会社くすりの窓口 HP
https://kusurinomadoguchi.co.jp/
[iii] 特許庁のサイトのビジネスモデル特許の説明において、IPC又はFIとしてG06Qが付与された特許出願をビジネス関連発明と定義しています。特許庁「ビジネス関連発明の最近の動向について」https://www.jpo.go.jp/system/patent/gaiyo/sesaku/biz_pat.html
[iv] ブログ管理人の解釈であり、この特許の権利範囲を示すものではありません。