内容
1.急成長スタートアップの知財戦略に注目:
2.宿泊冷蔵庫の自動課金&在庫管理特許 :
2.1 NOT A HOTELとはどんな会社?(企業概要):
2.2 客室冷蔵庫の商品は、追加収益の大きなチャンス:
2.3 宿泊客の体験を損なわず、売上管理を自動化する「スマート冷蔵庫管理システム」:
2.4 スタートアップの特許戦略として注目すべき3つのポイント:
3.スタートアップにこそ、知財戦略が武器になる!:
1.急成長スタートアップの知財戦略に注目:
スタートアップにとって、アイデアや技術は事業の生命線です。
しかし、「プロダクトが話題になった途端、すぐに真似された」「資金調達時に知財戦略を投資家から問われた」という経験をした方も多いはず。
そこで、今回は、創業4ヶ月経過前に特許を出願し、2024年だけでも60億円超の資金調達に成功したNOT A HOTELの事例から、スタートアップの「知財戦略」成功のポイントを考えてみます。
2.宿泊冷蔵庫の自動課金&在庫管理特許[i] :
NOT A HOTELは、「別荘を10泊単位でシェア購入」という新しいライフスタイルを提案するスタートアップです。
資産価値を保ちながら、オーナー同士が物件を相互利用できる仕組みを作り、2024年には独自の仮想通貨「NAC」まで発行しています。
不動産×ブロックチェーン×シェアリングエコノミーという最先端ビジネスモデルを支えるのが、今回ご紹介する「宿泊冷蔵庫の自動課金&在庫管理特許」です。
2.1 NOT A HOTELとはどんな会社?(企業概要):[ii] [iii] [iv] [v]
NOT A HOTEL株式会社の企業概要を見てみましょう。
設立は2020年4月1日。資産として相互利用可能な物件を毎年10泊単位からシェア購入できる別荘「NOT A HOTEL」の企画・販売・運営を行っています。
子会社・関連会社としては、以下の3つがあります。
- 「NOT A HOTEL 2nd株式会社」・・・セカンダリーマーケット(売買プラットフォーム)事業を行う
- 「NOT A HOTEL DAO株式会社」・・・暗号資産を活用した宿泊サービス事業を行う
- 「NOT A HOTEL MANAGEMENT株式会社」・・・NOT A HOTEL施設の運営・管理事業を行う
資本金は103億円(2024/6月末)、従業員240人(2024/9)の企業です。
売上高は未公開ですが、興味深い点として、独自の仮想通貨「NOT A HOTEL COIN(NAC)」を、2024年12に発行し、GMOコインにて上場しています。
2.2 客室冷蔵庫の商品は、追加収益の大きなチャンス:
宿泊体験の中でも、客室冷蔵庫の商品は、追加収益の大きなチャンスです。
しかし、チェックアウト時の精算や商品補充の手間が、収益化を妨げていました。
NOT A HOTELの特許は、この一連の流れを「非対面・自動化」することで、宿泊体験を損なわずに売上最大化と業務効率化を両立しています。
さらに、蓄積された購買データは、顧客嗜好に合わせたサービス提供やマーケティング戦略にも活用可能です。
単なる「設備管理」ではなく、データドリブン経営を支える知財として大きな価値を持っています。
2.3 宿泊客の体験を損なわず、売上管理を自動化する「スマート冷蔵庫管理システム」:[vi]
ご紹介するのは特許7307491号(正式な発明の名称:管理システム)です。
この特許のポイントは、以下の3つ。
- 各客室の冷蔵庫はネットワーク接続され、管理端末と連携
- 冷蔵庫から商品が取り出されると自動的に課金処理が実行(ステップS1~S3)。
- 購買データを蓄積し、宿泊客ごとの嗜好分析や在庫補充にも活用(ステップS4~S7)
宿泊客にとっては「会計不要」の快適体験を、運営側には「人件費削減+データ活用」のメリットを提供する仕組みです。
2.4 スタートアップの特許戦略として注目すべき3つのポイント:[vii]
特許の成立までを時系列で追っていくと
- 設立が2020年4月1日
- 特許の出願が2020年7月27日
- 審査の請求が2023年4月17日
- 特許の登録が2023年7月4日
です。知財戦略としては以下が注目です。
- 創業4ヶ月という早期段階で出願
事業構想段階から特許戦略を組み込んでいた点は、非常に先見的です。
- 出願審査請求のタイミング
一般的には早期請求が多い中、あえて3年近く寝かせた上でタイミングを見極めた点が特徴的です。
- 驚異のスピード審査通過
審査請求からわずか2ヶ月半で特許登録。早期審査制度をフル活用した知財戦略が見て取れます。
3.スタートアップにこそ、知財戦略が武器になる!:
NOT A HOTELの事例から分かるのは、事業成長と知財戦略が一体化している点です。
スタートアップの皆さんも、単にプロダクト開発に注力するだけでなく、そのビジネスモデルやサービスを守り、資産化する視点を持つことが重要です。
ぜひ、今後の資金調達や事業成長に向けて、自社の知財戦略や知財ポートフォリオを見直すきっかけにしてみてください。
本日もご覧いただき、ありがとうございました。
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【参考文献】
[i] 特許7307491号公報
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-2022-023280/11/ja
[ii] NOT A HOTEL株式会社HP
https://notahotel.com/
[iii] スピーダ スタートアップ情報リサーチ
https://initial.inc/companies/A-36874
[iv] TOMORUBA (トモルバ)
https://tomoruba.eiicon.net/articles/4729
[v] MUGENLABO Magazine
https://mugenlabo-magazine.kddi.com/list/not_a_hotel/
[vi] ブログ管理人の解釈であり、この特許の権利範囲を示すものではありません。
[vii] 特許庁のサイトのビジネスモデル特許の説明において、IPC又はFIとしてG06Qが付与された特許出願をビジネス関連発明と定義しています。特許庁「ビジネス関連発明の最近の動向について」https://www.jpo.go.jp/system/patent/gaiyo/sesaku/biz_pat.html