「知的財産推進計画」とは?

知財全般

目次

1.はじめに:
2.知的財産戦略本部とは:
3.知的財産推進計画とは:
4.知的財産推進計画2023の概要:
5.知的財産推進計画2023の重点10施策:
6.知的財産推進計画2023の特徴:
6.1 2022年版からの変更点
6.2 知的財産推進計画2022の概要:
6.3 2023年テーマ3:急速に発展する生成 AI 時代における知財の在り方
7.おわりに:

 

 

1.はじめに:

6月9日に知的財産戦略本部より、知的財産推進計画2023が公表されました。ここでは、その概要と今年度の特徴についてまとめてみました。

 

2.知的財産戦略本部とは:

知的財産戦略本部とは、知的財産基本法(平成14年法律第122号)[1]に基づき2003年3月、内閣に設置された組織[2]。知的財産の創造、保護及び活用に関する施策を集中的かつ計画的に推進するために設置されました。ちなみに、2023年6月22日現在、内閣のサイトにて確認できた活動中の内閣の会議等の数は、知的財産戦略本部を含めて217あります。

 

3.知的財産推進計画とは:

知的財産推進計画とは、知的財産基本法23条により、知的財産戦略本部が定める推進計画であり、次の事項を定める。原則、当該施策の具体的目標及び達成時期を定める。少なくとも毎年度一回、推進計画に検討を加え、必要があれば変更しなければならない。

一 知的財産の創造、保護及び活用のために政府が集中的かつ計画的に実施すべき施策に関する基本的な方針
二 知的財産の創造、保護及び活用に関し政府が集中的かつ計画的に講ずべき施策
三 知的財産に関する教育の振興及び人材の確保等に関し政府が集中的かつ計画的に講ずべき施策
四 前各号に定めるもののほか、知的財産の創造、保護及び活用に関する施策を政府が集中的かつ計画的に推進するために必要な事項

 

4.知的財産推進計画2023の概要:

知的財産推進計画2023は、
~多様なプレイヤーが世の中の知的財産の利用価値を最大限に引き出す社会に向けて~
と題して、今後、知財戦略を推進する際に重要となる政策課題と施策を、下記重点10施策に整理しています。

 

5.知的財産推進計画2023の重点10施策[3][4]

①スタートアップ・大学の知財エコシステムの強化
②多様なプレイヤーが対等に参画できるオープンイノベーションに対応した知財の活用」
③急速に発展する生成 AI 時代における知財の在り方
④知財・無形資産の投資・活用促進メカニズムの強化
⑤標準の戦略的活用の推進
⑥デジタル社会の実現に向けたデータ流通・利活用環境の整備
⑦デジタル時代のコンテンツ戦略
⑧中小企業/地方(地域)/農林水産業分野の知財活用強化
⑨知財活用を支える制度・運用・人材基盤の強化
⑩クールジャパン戦略の本格稼働と進化

 

6.知的財産推進計画2023の特徴:

6.1 2022年版からの変更点

2022年のものと比べると、以下の2つの施策が追加されています。

②多様なプレイヤーが対等に参画できるオープンイノベーションに対応した知財の活用」
③急速に発展する生成 AI 時代における知財の在り方

 

6.2 知的財産推進計画2022の概要[5][6]

~意欲ある個人・プレイヤーが社会の知財・無形資産をフル活用できる経済社会への変革~

知的財産推進計画2022の全体像:

①スタートアップ・大学の知財エコシステムの強化
②知財・無形資産の投資・活用促進メカニズムの強化
③標準の戦略的活用の推進
④デジタル社会の実現に向けたデータ流通・利活用環境の整備
⑤デジタル時代のコンテンツ戦略
⑥中小企業/地方(地域)/農林水産業分野の知財活用強化
⑦知財活用を支える制度・運用・人材基盤の強化
⑧アフター・コロナを見据えたクールジャパンの再起動

 

6.3 2023年テーマ3:急速に発展する生成 AI 時代における知財の在り方

(1)生成AIと著作権

生成AIと著作権との関係について、具体的な事例の把握・分析、法的考え方の整理を進め、必要な方策等を検討する(短期、中期)。

(2)AI技術の進展を踏まえた発明の保護の在り方

・進歩性等の特許審査実務上の課題やAIによる自律的な発明の取扱いに関する課題について諸外国の状況も踏まえて整理・検討する(短期)。
・AI関連発明の特許審査事例を拡充し公表する。また、AI関連発明の効率的かつ高品質な審査を実現するため、AI審査支援チームを強化する(短期)。

 

7.おわりに:

知的財産推進計画は、内閣に設置された知的財産戦略本部が公表する、知財に関する推進計画であり、知産の創造、保護及び活用に関する施策を集中的かつ計画的に推進するべく公表されます。

毎年更新されることから、この推進計画を追っていくことにより、知財動向が把握できる点において、「知財動向把握のはじめの一歩」ともいえそうです。

 

最後までご覧いただきありがとうございました。

【参考文献】
[1] 知的財産基本法
[2] 首相官邸サイト
[3] 知的財産推進計画2023(概要)
[4] 知的財産推進計画2023(詳細版)
[5] 知的財産推進計画2022(概要)
[6] 知的財産推進計画2022(詳細版)

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