内容[i]
1.はじめに:
2.国内特許出願件数30万件突破:
2.1 前年比+3.7%成長
2.2 中小企業の出願占有率は増加傾向
2.3 直近10年はマイナス0.6%成長
2.4 国内出願件数の最高は、2001年の43.9万件
2.5 世界の特許出願件数、直近10年はプラス3.4%成長
2.6 5庁(IP5)の内、5年・10年が共にマイナス成長は日本のみ
3.おわりに:
1.はじめに:
2024年3月付で、特許庁から、2023年の統計情報及び政策の成果を掲載した「特許庁ステータスレポート2024」の公表がありました。
2023年の国内特許出願数は、30万133件でした。
実に、4年ぶりの30万件突破です。
今回は、日本の特許出願数が成長軌道に乗ったかのか?について見ていきたいと思います。
2.国内特許出願件数30万件突破:
2.1 前年比+3.7%成長
まずは、前年からの成長率で見てみましょう。
2023年の国内特許出願数30万133件は、前年比プラス3.7%の成長です。
2022年は+0.1%、2021年は+0.3%、2020年は-6.3%ですので、2021年からプラス成長が続いています。
特に、2023年は21年や22年と比べて成長率の高さが目立ちます。
年 | 成長率(前年比) |
2020年 | -6.3% |
2021年 | +0.3% |
2022年 | +0.1% |
2023年 | +3.7% |
2.2 中小企業の出願占有率は増加傾向
日本を支える中小企業の出願の成長はどうなっているのでしょうか。
出願全体に占める中小企業の割合は、ここ数年増加傾向にあり、2022年は全体の約14%を占めるまでに成長しています。
詳しくはこちらの投稿をご覧ください。
2.3 直近10年はマイナス0.6%成長
2023年の前年比の成長率は、ここ数年の期間では高成長であったといえます。
また、中小企業は成長トレンドです。
一方で、国内特許出願件数全体の85%以上は大企業による出願となっています。
そこで、もう少し長期視点で推移を見てみましょう。
例えば、直近10年で見ると、年平均成長率(CAGR)はマイナス0.6%です。
5年間の推移とは異なる傾向が見えてきます。
2.4 国内出願件数の最高は、2001年の43.9万件
さらに長期で見てみましょう。
下のグラフは過去20年の国内特許出願件数の推移です。
20年前と比較すると、10万件以上減少していることが分かります。
ちなみに、過去最高の出願件数は2001年の43万9千件でした。
皆さんなら国内特許出願数30万件突破というニュースをどうとらえますか?
2.5 世界の特許出願件数、直近10年はプラス3.4%成長
今度は、世界の特許出願件数と比べてみましょう。
直近10年間の世界の特許出願件数は、年平均成長率(CAGR)+3.4%となっています。
日本はマイナス0.6%成長ですから、世界とは異なるトレンドです。
2.6 5庁(IP5)の内、5年・10年が共にマイナス成長は日本のみ
最後に、出願件数が多いと言われる、5庁(IP5)の推移で比べてみましょう。
近年は中国の出願件数が他国を圧倒していることはニュースなどで報道されていますね。
IP5に注目して、5年と10年の期間で年平均成長率(CAGR)を比べてみました。
すると、「双方ともマイナス成長は日本のみ」という姿が見えてきます。
世界のトレンドとは明らかに異なる動きが続いていたといえます。
3.おわりに:
いかがでしたか。
2023年の国内特許出願数は、前年比+3.7%成長により、4年ぶりに30万件を突破しました。
一方で、長期視点で見てみると、過去には40万件を上回る時期もありました。
また、世界視点で見てみると、5庁(IP5)の中では、日本だけがマイナス成長で推移していました。
今回の国内特許出願数30万件突破は良いニュースではありますが、これが本当に成長軌道に乗ったかどうかを判断するためにも、来年度以降のレポートにも注目したいですね。
今回も最後までご覧いただきありがとうございました。
【参考文献】
[i]特許庁ステータスレポート2024
https://www.jpo.go.jp/resources/report/statusreport/2024/index.html