中小企業の特許出願数、過去10年間の年平均成長率が2%を達成 ~日本の特許出願動向について~

特許

内容

1.はじめに:
2.中小企業の出願数、年平均2%の成長を達成:
3.日本全体の特許出願数はマイナス成長、海外への出願にも陰りが見える:
3―1.日本全体の特許出願数はマイナス成長が続く:
3-2.海外への出願数増加が、直近では横ばいになっている:
4.おわりに:

 

1.はじめに:

中小企業の特許出願数が成長を続けています。
今回は、日本の特許出願数の動向の内、中小企業に注目してその動向をご紹介します。
国内特許出願の全体動向に加え、外国への出願動向も併せて確認することで、中小企業の出願数の成長がどの程度大きいかを確認してきたいと思います。

 

2.中小企業の特許出願数、過去10年間の年平均成長率が2%を達成:

中小企業に的を絞って出願数の動向を見てみましょう。
下の図は、2013年から2022年にかけて中小企業の特許出願数の動向をグラフ化したものです。
中小企業の国内特許出願は、2013年の約3,3000件から2022年には約40,000件へと成長し、年平均成長率(CAGR)は2.0%の成長が認められます。
期間を区切ってみて見ると、’13-’18年では2.7%の成長、’18~’22年でも、1.2%と、直近5年でも成長が続いています。

中小企業出願数

 

日本への外国人による出願を除外した、企業規模による出願動向の数が公開されています。
これを国内企業中の中小企業の出願割合としてグラフ化したものが下記です。
中小企業の出願割合は、2013年の12.2%から2022年には18.1%へと成長しています。
年平均成長率(CAGR)を算出すると、4.5%の高い成長が認められます。
期間を区切ってみて見ると、’13-‘18年では4.1%の成長、’18~’22年でも、5.1%の成長と、直近5年でも高成長が続いていることが分かります。
国内企業中の中小企業の出願割合

3.日本全体の特許出願数はマイナス成長、海外への出願にも陰りが見える:

上記の結果を比較するために、日本全体の特許出願の動向を確認したいと思います。
日本における特許出願数の動向を20年の期間で見ていきます。

 

3―1.日本全体の特許出願数はマイナス成長が続く:

2022年の国内特許出願数は約29万件でした。
2003年には約41万3,000件でした。
20年間の年平均成長率(CAGR)は-1.9%となります。
期間を区切ってみて見みます。
’03-’13年にかけて大きく減少して-2.3%でした。
’13-’18年は-0.9%であり、下げ止まりの兆候とも見えました。
’18-’22年は-2.0%成長と、直近5年ではマイナス成長が加速しています。
このように日本全体で見ると、特許出願数は明らかに減少傾向が続いています。
特許出願数(国内)

3-2.海外への出願数増加が、直近では横ばいになっている:

日本から外国への出願数の動向も確認してみましょう。
下図は、外国への出願のルートの1つである国際特許出願の出願数の動向です。

日本を受理官庁とした国際特許出願は、2003年の約17,000件から2022年には約49,000件へと成長し、年平均成長率(CAGR)は5.7%の高い成長が認められます。
期間を区切ってみて見みます。
’03-’13年では9.7%の非常に高い成長を記録しています。
’13-’18年でも2.5%のプラス成長がみられます。
’18-’22年の直近5年は、プラス成長が止まり横ばい状態です。
このように、’19年頃までは海外出願の増加傾向がみえましたが、その傾向も陰りを見せています。国際特許出願数(日本受理官庁)

 

4.おわりに:

中小企業の国内特許出願数は、プラス成長が続いています。
日本全体の出願数は、’19年頃までは海外出願を増加させる傾向がみえましたが、直近では、出願数自体を更に絞り込む傾向に移っているようにも見えます。

今回は中小企業の特許出願動向という視点で、中小企業の知財活動の一端をご紹介しました。
出願数の増加要因の1つとしては、行政の施策による要因が考えられます。
こちらについては別の機会にご紹介できればと考えています。
日本経済において大変重要な存在である中小企業の動向に今後も注目していきたいと思います。

 

本投稿が、皆さまの知財活動への参考になりましたら幸いです。
本日も最後までご覧いただきありがとうございました。

 

参考文献
特許庁 特許行政年次報告
中小企業庁 中小企業白書

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