内容
1.はじめに:
2.ウェルビーイングと発明:
2.1 ウェルビーイングに言及した特許出願は近年急増している
2.2 累積件数は、仏・サノフィー社が他を圧倒している
2.3 サノフィー社を除いても急成長している
(次回に続く)
1.はじめに:
前回は、ウェルビーイングとビジネスという視点で、特に商標の出願が成長している点を紹介しました。
この傾向は発明についても同じことがいえるのか気になります。
そこで、ウェルビーイングの特許出願について調べてみましたので紹介します。
2.ウェルビーイングと発明:
本ブログでは、特許情報プラットフォームJ-PlatPatにて、特許・実用新案において、検索項目「全文検索」、キーワードに「ウェルビーイング」,「wellbeing」,「well-being」の3種類を入力して検索した結果を元にしています。
2.1 ウェルビーイングに言及した特許出願は近年急増している
はじめに、商標と同様に経時変化を確認してみましょう。
図1は、ウェルビーイングに言及した特許出願の数の経時変化をグラフ化したものです。
【図1】
2016年あたりから急増していますね。
2011年から2021年までの年平均成長率(CAGR)を計算したところ、18.5%でした。
以前のブログで紹介した通り、2022年頃までは、全分野の出願数が横ばいか下降傾向を示していましたので、明らかに全技術分野の傾向とは異なり、かなりの高い成長であることが分かります。
【ご参考】
今回の調査の範囲内ですが、特許出願の明細書のいずれかの部分において、「ウェルビーイング」が初めて言及されたのは、1987年でした。
出願人はテルモで、発明の名称は「胎児監視装置」です(特願昭62-022935)。
この発明は、胎児に関する情報の特徴、母体に関する情報の特徴、若しくはこれら2つの情報の互いの相関関係を記録する胎児監視装置を提供するものです。
明細書中に、「・・・胎児が良好状態(Well-being)にあるか否かを評価するものである。」という説明があります。
2.2 累積件数は、仏・サノフィー社が他を圧倒している
さて、同じ情報を出願人別の累積件数で整理して、グラフ化すると図2のようになりました。
【図2】
今回の調査の範囲内での1位はフランスの製薬企業であるサノフィーでした。
同社は、注射デバイスや薬物送達デバイスに関係する特許出願を中心に158件を申請しており、他を圧倒してます。
2位はオランダのフィリップスで21件、3位はマツダの13件と続きます。
2.3 サノフィー社を除いても急成長している
サノフィー社の出願件数が圧倒的であったので、サノフィーだけでこのような傾向を示しているとも考えられます。
そこで、念のため同社を除いて傾向を調べてみました。
図3に示すように、同じ期間の成長率は12.8%であり、サノフィー社を除いても急成長していますね。
【図3】
(次回に続く)
ここまでご覧いただきありがとうございます。
この後の内容は更に長くなりそうですので、今回はここまでとします。
この続きは、次回に。
【関連コンテンツ】
続・ウェルビーイングとビジネス ~ウェルビーイングの発明とはどのようなものか?(その2)~
ウェルビーイングとビジネス ~商標出願から見たウェルビーイングの注目度について~