ウェルビーイングとビジネス ~商標出願から見たウェルビーイングの注目度について~

商標

内容
1.はじめに:
2.ウェルビーイングと商標:
2.1 最先の出願は2004年の資生堂
2.2 累積件数のトップは個人名での出願
2.3 登録された商標の一覧
3.おわりに:

 

 

1.はじめに:

先日、武蔵野大学で開催されたウェルビーイングに関する公開講座に参加してきました。

日本初のウェルビーイング学部がある同大学では、科学や技術の最先端の知見や成果も取り入れた学際的なアプローチによって、幸せ・生きがい・安心・福祉・健康・平和など、一人ひとりの多様な幸せと世界全体の幸せをデザインしカタチにしていく人材を育成することを目指しています[i]

この講座で印象に残ったキーワードの1つが「自分の個性を楽しむ」です。

そういえば、ビジネスにおいても、各企業は様々な個性を発揮して社会に貢献していますので、改めてウェルビーイングの重要さと、その潜在力の大きさを感じています。

そこで、今回は、「ウェルビーイングとビジネス」という視点で、特に商標について調べてみました。

 

2.ウェルビーイングと商標:

本ブログでは、特許情報プラットフォームJ-PlatPatにて、検索項目「商標(検索用)」、キーワードに「ウェルビーイング」,「wellbeing」,「well-being」の3種類を入力して検索した結果を元にしています。

 

2.1 最先の出願は2004年の資生堂

はじめに、商標登録出願(未登録も含む)がどのくらいされているかを出願年毎にカウントしてみました(図1)。

一定期間を経ないと情報は公開されないため、2023年以降の数字は今後増加する可能性があります。

【図1】

確認できた中で出願が一番早かったのは2004年です。

出願人は、化粧品を中心とした事業展開を行っている資生堂[ii]でした。

時代の潮流を掴むのに長けていますね。

翌年の2005年にはデラが出願しています。

この企業は、音や音楽・映像・音楽イベントなどを通じ、「心と身体にやさしい音楽」を提供する企業です[iii]

出願件数は、その後順調に増加しており、2022年には12件が出願されています。

 

2.2 累積件数のトップは個人名での出願

同じ情報を基に出願人別の累積件数で整理してみました(図2)。

【図2】

図2を見て分かる通り、累積件数の最大は、個人名(ここでは「A氏」とします。)での出願で9件でした。

2位は、美容室向け毛髪化粧品・医薬部外品の製造販売企業であるナンバースリー[iv]で、出願件数は3件でした。

この企業は、自社サイトのトップページでWELLBEINGを前面に表示しており、注力度高さを感じます。

3位圏は、2件の出願で6者です。

文房具やオフィス家具の製造・仕入れ・販売等を行うコクヨ[v]、医薬品開発支援を行うシミックホールディングス[vi]、デラ、衣料品や雑貨の企画・生産・販売等を行うワールド、個人(B氏)、繊維品の卸売・輸出・三国間貿易等を行う豊島[vii]でした。

 

2.3 登録された商標の一覧

では、実際にどんな商標が出願されたのでしょうか?

図3に、出願された商標を一覧形式でまとめました。

ここに掲載したものは、調査した時点で、特許庁の審査を経て実際に商標登録されているものです。

複数の権利を取得している企業もありますが、ここでは出願人毎に1件を掲載しています。

【図3】

 

 

このように一覧で見てみると、各社の「個性」が見えてきますね。

ところで、この一覧は、出願人毎に1件を抽出して作成しています。

ということは、1つの企業の商標は1つしか掲載していません。

もう一度、図3の2行目と3行目の商標をじ~と見て下さい。

出願人が異なるにも関わらず、「WELLBEING」という標準文字(文字フォントを特定せず「WELLBEING」という文字のみ)の同一商標が2件登録されていますよね。

商標の審査では、使用する商品やサービスが異なれば、文字が同じでも審査でOKと判断されることがあります。

標準文字による商標の出願は人気があるということが分かりますね。

 

3.おわりに:

「ウェルビーイング」を含む出願件数は、近年順調に増加しており、商標の世界においても注目度が高まっていることが分かります。

ウェルビーイングをいかに自社のビジネスに取り入れていくかという視点も大事ですが、実は、それ以前に、既に自社のビジネスに取り入れている点に気づき、そしてそれをどのように表現・発信していくかも大切な視点だと感じます。

今回は各社が取得している商標の一覧もご紹介しました。

商標のデザインを検討中の方にも、参考情報の1つになりましたら幸いです。

 

今回も最後までご覧いただきありがとうございました。

 

【参考文献】
[i] 武蔵野大学 ウェルビーイング学部  https://www.musashino-u.ac.jp/academics/faculty/well-being/
[ii] 株式会社資生堂 HP
https://www.shiseido.co.jp/
[iii] 株式会社デラ HP
https://www.della.co.jp/
[iv] 株式会社ナンバースリー HP
https://www.no3.co.jp/
[v] コクヨ株式会社 HP
https://www.kokuyo.co.jp/
[vi] シミックホールディングス株式会社 HP
https://www.cmicgroup.com/
[vii] 豊島株式会社 HP
https://www.toyoshima.co.jp/

【関連コンテンツ】
続・ウェルビーイングとビジネス ~ウェルビーイングの発明とはどのようなものか?(その1)~

続・ウェルビーイングとビジネス ~ウェルビーイングの発明とはどのようなものか?(その2)~

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