海外知財を考える(1) ~海外展開していなくても、今から知財を考えるべき理由~

特許

内容
1.はじめに:
2.海外知財検討の必要性:
2.1 なぜ今から海外知財を考えるべきか?:
2.2 世界の特許出願件数は成長を続けている:
3.次回予告:

1.はじめに:

製品が少しずつ市場で認知され始めた頃、思いがけず海外から問い合わせが来ることがあります。

「まだ海外展開なんて先」と思っていても、事業が伸び始めると、想像より早く海外の企業や競合の目に触れることになります。

実はこのタイミングこそが、知財戦略上の重要な分岐点です。
日本で特許を取得していたとしても、それは日本国内でのみ効力があるもの。
もし海外で模倣されても、権利を持っていなければ何もできません

だからといって「今すぐ海外出願をしなければ・・・」と身構える必要はありません。
大切なのは、“いつ・どの段階で海外知財を頭に入れておくべきか”を知っておくことです。

 

2.海外知財検討の必要性:

2.1 なぜ今から海外知財を考えるべきか?:

海外展開していないからこそ、今が“考えられる最後のタイミング”になることがあります。

(1)海外展開してから考える、では遅いのです。
公開後1年以内に出願しないと、日本の特許取得でさえ手遅れになるからです。

(2)日本で特許を取ってから考える、では遅いのです。
➡企画段階で海外戦略を意識しないと、権利取得できない場合があるからです。

(3)資金が無いので今は無理 、と考えていませんか?
➡資金調達前に特許方針を決めれば、投資家評価が上がる場合があります[i]

 

2.2 世界の特許出願件数は成長を続けている[ii] [iii]

先日発表されたWIPO(世界知的所有権機関)のレポートによれば、
2024年の世界の特許出願件数の合計は370万件を超えています。
出願件数はプラス成長であり、直近10年は年平均+3.3%の成長です。

これを世界のGDPの合計値の推移と比較してみます。
すると、特許出願件数は、各国の経済にほぼ連動していることが分かります。
また、GDPは2020年のコロナ禍では大きく落ち込んでいますが、特許出願数は比較的堅調です。
少なくとも下記期間に関しては、特許出願数の減少幅はGDPより小さく、安定した成長といえます。

つまり、
不況時でも知財を守り続けた企業が、次の成長のステージで優位なポジションに立つとの意識の下、
世界は、「特許はコストではなく資産」と捉えています。
世界で戦う企業は、知財を“攻めの投資”として扱っているのです。

 

3.次回予告:

次回以降、どの国に、どんなタイミングで出願を検討すべきか、を考えていきたいと思います。

本日もご覧いただきありがとうございました。

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【参考文献】
[i] How startups and SMEs should think about IP: an investor’s perspective
https://www.wipo.int/en/web/wipo-magazine/articles/how-startups-and-smes-should-think-about-ip-an-investors-perspective-42059?utm_source=chatgpt.com
[ii] World Intellectual Property Indicators 2025
https://www.wipo.int/publications/en/details.jsp?id=4822
[iii] World Economic Outlook, October 2015; Chapter 1. Recent Developments and Prospects
https://www.imf.org/en/-/media/websites/imf/imported-flagship-issues/external/pubs/ft/weo/2015/02/pdf/_c1pdf.pdf?utm_source=chatgpt.com

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